物置の建築確認は必要なのでしょうか?その判断には基準があります

物置を設置する場合には、建築確認が必要な場合があります。建築確認を行わずに設置した場合は、法律違反となり行政指導などを受ける可能性があります。

この記事では、物置の設置に関する建築確認が必要となる判断基準を解説します。そもそも、建築確認とは何であるのかという疑問があるかもしれませんので、その概要についても解説します。

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物置を設置したいと思ってもすぐに設置するのは待ってください。物置を設置するために、建築確認が必要な場合があります。この記事では、建築確認が必要かどうかの判断基準について解説しています。参考としてご確認していただければと思います。

1. 建築確認の概要

1-1. 建築確認とは?

建築物を建てる際には、建築確認が必要となります。建築確認とは、建築をしようとしている建築物が建築基準法等の基準に適合しているかを審査することです。

建築基準法では、地震や火災などに対する安全性や良好な住まい環境を確保するための必要最低限の基準が定められています。この建築基準法や関連法規に適合しているかを審査します。

この建築確認は、都道府県や市町村の建築主事または指定確認検査機関が行います。工事に着手する前に、建築主事または指定確認検査機関に確認申請書を提出して行います。建築基準法等の基準に適合していることが確認されれば、確認済証が交付されます。

1-2. 建築確認をしないとどうなる?

建築物の建築前に建築確認を行うことが必要ですが、この建築確認を行わずに建築を行うとどうなるのでしょうか。

建築確認を行わずに、工事を始めると法律違反となります。具体的には、自治体から行政指導が行われます。その内容は、違反を是正するための措置が求められることになります。改善が見られない場合は、施工の中止や使用禁止命令などが下されます。この行政指導に従わない場合には、罰金や懲役などの刑事罰の対象になる可能性があります。

2. 物置の建築確認

2-1. 建築確認の対象となる建築物

はじめに、建築確認の対象となる建築物を見ていきます。まず、「建築物」ですが、建築基準法で下記の通り定義されています。

建築基準法

(用語の定義)
第二条 この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 建築物 土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、これに附属する門若しくは塀、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨こ線橋、プラットホームの上家、貯蔵槽その他これらに類する施設を除く。)をいい、建築設備を含むものとする。

出典:デジタル庁「e-Gov法令検索サイト」-「建築基準法」(出典元

建築物とは、土地に固定され屋根と柱または壁があって屋内として使用ができる建物のことです。土地に固定されていない小規模な小屋や倉庫は建築物に該当しません。

次に建築確認の対象となる建築物について見ていきます。対象となる建築物は、下記の表で「〇」のある箇所となります。

区域建築物の種類建築物の規模新築増築・改築・移転大規模修繕・模様替え用途変更
全国一定の特殊
建築物
用途に供する床面積の合計が200㎡超〇(※1)
大規模建築物木造下記のいずれかに該当
①階数3以上
(地下含む)
②延べ面積500㎡超
③高さ13m超
④軒高9m超
-
木造以外下記のいずれかに該当
①階数2以上
(地下含む)
②延べ面積200㎡超
-
都市
計画
区域等
(※2)
一般の建築物規模を問わない〇(※1)--

※1:防火地域および準防火地域以外の場合
  ⇒増築・改築・移転の部分の床面積の合計が10㎡以内であれば、確認不要
   防火地域または準防火地域内の場合
  ⇒10㎡以内でも確認が必要

※2:都市計画区域・準都市計画区域・準景観地区・知事指定区域

では、物置は建築確認の対象となる建築物にあたるのでしょうか。その答えを次項で確認したいと思います。

2-2. 建築確認の対象となる物置

物置が「建築確認の対象となる建築物」にあたるかどうかの判断基準は下記の通りです。両方の基準を満たした場合に、建築確認が必要となります。

建築確認の対象となるかの判断基準

  • 「建築物」に該当するか
  • 「地域」、「規模」が該当するか

「建築物」に該当するか

基礎を作って移動できないように固定した場合は、建築物に該当します。

「地域」、「規模」が該当するか

都市計画区域外の場合は、建築確認は不要です。

防火地域または準防火地域内に設置する場合は、建築確認が必要です。

防火地域および準防火地域以外で設置する場合は、物置の床面積により異なります。
⇒物置の床面積が10㎡を超える場合は、建築確認が必要。
⇒物置の床面積が10㎡以内の場合は、建築確認は不要。

設置する物置が、上記で記載した「建築物」に該当し、かつ、「地域」・「規模」が該当する場合は、建築確認が必要となります。

3. まとめ

最後までお読みいただきありがとうございました。建築確認が必要かどうかの判断基準を知るための手掛かりになりましたでしょうか。
物置について、建築確認が必要かどうかについて解説しました。まず、物置が建築物にあたるかどうかの判断が必要となります。さらに、物置を設置する地域や規模に応じて建築確認の要否が異なります。

物置をこれから設置しようとお考えの方は、紹介した基準を参考に検討してみてください。少しでも不明な点があれば、お住いの自治体に確認してみるのが安心だと思われます。

4. Q&A

建築確認とは、何ですか?

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建築をしようとしている建築物が、建築基準法等の基準に適合しているかを審査することです。
建築主事または指定確認検査機関に確認申請書を提出して行います。

物置の設置は、建築確認が必要ですか?

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設置する物置が、「建築物」に該当するかどうか、設置する「地域」や「規模」が基準に該当するかどうか、により判断します。