建ぺい率と容積率の基本:一定のルールが存在します

建ぺい率と容積率という言葉を聞いたことはありますでしょうか。なんとなく意味はわかるかもしれませんが、地域や規制により上限が存在してることをご存じでしょうか。そのため、敷地面積全体に目一杯、住宅を建てることができなかったりします。また、住宅の大きさも制限を受けることになります。

これらは法令により規制されており、違反すると違反建築物となり様々な制約がでてきます。建ぺい率と容積率について、基本的な意味や規制について解説します。規制については、これら以外も存在していますので、いくつか紹介いたします。

てんびん不動産

この記事では、建ぺい率や容積率の意味やルールについて簡単に解説いたします。これらの内容を知ることで住環境や住宅探しにおいて、また違った見方ができるのではないでしょうか。理想の暮らしを見つけるための一助になれば幸いです。

1. 建ぺい率と容積率の基礎知識

1-1. 建ぺい率とは何か?

建ぺい率は、土地に建物が建てられている場合に、その敷地面積に対する建築面積の割合です。

建ぺい率

建ぺい率(%) = 建築面積 ÷ 敷地面積 × 100

例えば、ある土地の面積が100㎡で、建築面積が40㎡の場合、建ぺい率は40%となります。

1-2. 容積率とは何か?

容積率は、敷地面積に対する延べ床面積の割合です。延べ床面積とは、建物の各階の床面積の合計のことです。

容積率

容積率(%) = 延べ床面積 ÷ 敷地面積 × 100

例えば、ある土地の面積が100㎡で、建物の延べ床面積が200㎡であれば、容積率は200%となります。

2. 建ぺい率と容積率に決まりはある?

2-1. 建ぺい率や容積率は誰が決めている?

建ぺい率や容積率は、建築基準法にて用途地域別に上限がいくつか定められています。そして、各自治体が都市計画に従ってそれらの上限を決めています。地域によって、建ぺい率や容積率の上限は異なってきます。都市計画では、地域全体のバランスや利便性、環境保護を考慮し、建ぺい率や容積率を制定しています。

2-2. 建ぺい率の緩和条件

建ぺい率は、各自治体にて上限を定めていると述べましたが、これらには特定の条件に該当すると緩和されるというものがあります。それが下記の通りとなります。

建ぺい率の緩和

  1. 防火地域内の緩和
    建ぺい率の最高限度が80%とされている地域外で、かつ防火地域内にある耐火建築物
  2. 準防火地域内の緩和
    準防火地域内にある建築物で、耐火建築物等または準耐火建築物等
  3. 角地の緩和
    特定行政庁が指定する角地

1~3のいずれかを満たす場合には、10%緩和されます(定められた建ぺい率にプラス10%となります)。そして、1と3を満たす場合と、2と3を満たす場合は、20%緩和されます。

また、建ぺい率の制限がないものも存在します。建ぺい率が80%の地域で防火地域内にある耐火建築物等、公園・道路・川などの内にある建築物で安全上、防火上、衛生上支障がないと認められたもの、派出所・公衆便所などは建ぺい率の制限がありません。

2-3. 容積率の緩和条件

容積率も上限が定められていますが、車庫や地下室など一定の条件を満たすことで容積率の計算から除外されます。

容積率の緩和

  1. 車庫
    車庫の床面積が建物全体の延べ床面積の5分の1までは不算入とされます。
  2. 建物内の地下室
    地階の住居用部分は、床面積の3分の1までは不算入とされます。ただし、地下室の天井が地盤面から高さ1m以下であるという条件を満たす必要があります。

3. 建ぺい率と容積率の注意点

3-1. 建ぺい率や容積率を守らないとどうなる?

建ぺい率や容積率を守らない場合、建築基準法に違反することとなり、違反建築物として扱われます。具体的には、下記のような影響があります。

行政による是正命令

特定行政庁から違反建築物の除却、改築、使用禁止など違反を是正するために必要な措置をとるように命じられる可能性があります。


住宅ローンが組めない

違反建築物については、担保価値がなく金融機関のローン審査が通らない可能性が高いです。

3-2. 建ぺい率や容積率以外の規制

建ぺい率や容積率以外にも、建築制限には下記のものがあります。これらの規制に違反した場合は、違反建築物となりますので、注意が必要です。

その他の規制

  • 道路斜線制限
    道路および道路上空の空間を確保するための制限
  • 隣地斜線制限
    高い建物間の空間を確保するための制限
  • 北側斜線制限
    住宅地における日当たりを確保するための制限
  • 日影規制
    北側(隣地の南側)の敷地の日当たりを確保するための制限

4. まとめ

建ぺい率と容積率について、簡単に解説しました。不動産の広告等で目にすることのある建ぺい率や容積率について、解説したような規制などがあることをご存じでしたでしょうか。同じ土地の広さでも地域により建てられる住宅の広さの上限がかわってきます。土地の所在地により、住宅の建てられる広さや隣家との密集度なども変わってきます。建ぺい率や容積率の観点で住みたい地域を検討してみるのもおもしろいかもしれません。

また、建ぺい率や容積率は法令により規制されていますので、ルールを守ることが重要です。違反した場合には、いろいろと制約もでてきます。他にも規制となる基準が存在していますので、これらのポイントを押さえることで快適な住環境を手に入れる助けになるかもしれません。

5. Q&A

建ぺい率と容積率って具体的に何を指すのですか?

てんびん不動産

建ぺい率は、土地に建物が建てられている場合に、その敷地面積に対する建築面積の割合です。容積率は、敷地面積に対する延べ床面積の割合です。
これらは、建築基準法や都市計画により上限が規定されています。

建ぺい率や容積率を守らないとどうなりますか?

てんびん不動産

建ぺい率や容積率を守らない場合、行政による是正命令の対象となったり、住宅ローンが組めなくなるなどの影響があります。