地図とは違うのか、公図とはいったい何?
公図という言葉を聞いたことがあるでしょうか。こちら、聞きなれない言葉だと思います。おなじみの言葉で言うと地図があてはまると思います。ただ、厳密には違います。不動産取引において、土地の形状や道路との位置関係等を確認する際に地図を確認することになります。地図は、登記所に備え付けられています。そして、この「地図に準ずる図面」を公図と言います。厳密に言うと地図だけど、地図ではないのです。
このような公図の定義から役割、記載情報や取得方法についてご紹介します。公図についての知識を身に付けることで、不動産取引をされる際などに役立てることができます。
この記事では、公図の基本から取得方法まで、詳しく解説しています。不動産取引などにおいて重要な情報を手に入れるために、ぜひこれらの情報を正確に把握しましょう。公図に関する知識を身に付け、不動産取引を円滑に進めるため、一緒に「公図」の謎を紐解きましょう。
1. 公図とは
1-1. 公図の定義
公図とは、地図が備え付けられるまでの間、これに代わるものとして法務局に備え付けられている図面です。この公図は、土地の区画や地番、位置、形状等が記入されている「地図に準ずる図面」のことを指すのです。公図は、主に明治時代に租税徴収の目的で作成された図面であるため、地図に比べると精度は低いです。
では、地図とは何を指すのでしょうか。地図とは、不動産登記法第14条第1項に規定される図面を指します。土地の面積や距離、形状、位置について正確性が高く、境界を一定の誤差の範囲内で復元可能な図面です。
登記所に備え付けられている図面の整備状況ですが、地図が約58%であり、残りの約42%が公図となっております。
出典:法務省HP「法務局地図作成事業」-「1 法務局地図作成事業の推進について」-「・法務局地図作成事業の概要」にリンクされた資料「法務局の地図作成事業(登記所備付地図作成事業)の概要(法務省民事局令和5年5月)」
1-2. 公図の役割
公図は、正確な測量が難しかった明治時代の技術により、税金を徴収するための参考資料として作成されました。そのため、土地の位置や区画を正確に特定するという目的がないため、土地の配列や区画について、現地との整合性という意味では決して精度が高いものではありません。
先ほど図面の整備状況を紹介した通り、登記所に備え付けられている図面の約42%は公図であるという状況があり、地図に比べると精度は低いとしても土地の位置、形状、面積、隣地との関係等を示すものとしては、公図が役に立つと言えます。そのため、現在も公図が利用されているのです。
2. 公図はどのように見るのか
2-1. 公図の見方
出典:一般財団法人民事法務協会「登記情報提供サービス」-「サービス概要」-「提供される登記情報」-「・地図情報 地図又は地図に準ずる図面(見本⇒)」(出典元)
上記は、登記所に備え付けられている地図の見本になります。地図の下部の中央付近に記載された「分類」の欄に「地図(法第14条第1項)」との記載があります。公図の場合、この記載が「地図に準ずる図面」と表記されています。
図面の中に書かれている数字は、「地番」になります。住所とは別物で、土地一筆ごとに割り振られている番号です。そして、土地の区画を表す線を筆界といい、その土地の範囲を区画するものとして、土地の登記の際に定められた線となります。
3. 公図の取得方法
3-1. 請求方法別の公図の取得方法
公図は、地図証明書として、登記所へ交付請求することで取得できます。地図証明書とは、地図又は地図に準ずる図面(いわゆる公図)の証明書です。
・窓口や郵送での請求
窓口で請求する場合は、請求対象の土地を管轄する登記所の窓口、または、最寄りの登記所の窓口に、必要事項を記載した請求書を提出する必要があります。
郵送で請求する場合は、請求対象の土地を管轄する登記所、または、最寄りの登記所に、必要事項を記載した請求書を郵送する必要があります。その際、返信用の切手及び返送先の宛先を記載した封筒、または、メモを同封します。
手数料は、窓口での請求、郵送での請求ともに、1筆の土地につき450円です。
手数料は、請求書に収入印紙を貼って納付しますので、現金での納付はできません。
・オンラインでの請求
インターネットを利用してオンラインで請求することができます。
手続きについては、「登記情報提供サービス ホームページ」に案内があります。
(「登記ねっと 不動産登記手続」-「登記事項証明書/地図・図面証明書の交付請求 」(出典元))
受け取り方法
- 請求者が指定した登記所の窓口で受け取る
- 請求者が指定した住所に送付して受け取る
手数料
手数料の納付は、インターネットバンキングや電子納付対応のATMなどを利用して行います。
- 登記所の窓口で受け取る場合
1筆について430円 - 登記所から送付して受け取る場合
1筆について450円
4. まとめ
公図とは、地図が備え付けられるまでの間、これに代わるものとして法務局に備え付けられている図面です。同じく法務局に備え付けられている地図に比べると現地との整合性の精度は低いです。ただ、地図の整備状況などからもわかるように、土地の位置や道路との関係等を確認するために大いに役立ちます。
なお、当記事で紹介した、取得方法などについては、令和5年8月現在の内容になります。最新の情報については、法務省や法務局のホームページなどでご確認ください。
5. Q&A
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公図とはなんですか?
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公図とは、地図が備え付けられるまでの間、これに代わるものとして法務局に備え付けられている図面です。同じく法務局に備え付けられている図面に地図があります。現地との整合性としては、地図の方が精度が高いです。
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公図では何がわかりますか?
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土地一筆ごとに割り振られている番号である地番、土地や道路等の位置関係や筆界による土地の区画などがわかります。