住宅ローンを払えなくなったら?対処法についても併せて解説
住宅ローンは多くの人々にとって、夢の実現を支えてきました。しかし、生活の変化や予期せぬ出来事により、ローンの支払いが困難になることは避けられないこともあります。そんな時、冷静な判断と計画的な行動が不可欠です。
この記事では、住宅ローンが支払えなくなった際の具体的な対処法や、その際に考慮すべきポイントについて詳しく解説します。家計を見直す方法から、住宅ローンの借り換えの方法によるもの、さらには最後の手段としての家の売却についても触れていきます。
住宅ローンの問題に対処するには、計画的な行動が不可欠です。適切な対処法を選び、専門家のサポートを受けつつ、将来に向けた健全な財政計画を立てることが、困難な状況からの脱却への鍵です。さあ、住宅ローン問題に立ち向かい、安心した暮らしを取り戻す第一歩を踏み出しましょう。
1. 住宅ローンが払えなくなる原因
1-1. そもそもの借入額が適正ではない
住宅ローンの返済が困難になる主な原因の一つは、借入額が適正でないことです。借入額を計画的に設定することが重要です。
適正な借入額を知る一つの指標として、返済比率(返済負担率)というものがあります。返済比率とは、額面年収に対する住宅ローンの年間返済額の占める割合のことです。以下の式で算出されます。
返済比率の算出方法
返済比率 = 年間返済額 ÷ 額面年収
例えば、年収400万円の方で年間返済額が80万円の場合、返済比率は20%となります。
80万円 ÷ 400万円 = 20%
この返済比率がいくつであれば適正と考えられているかというと、一般的に20%以内に抑えるのが理想とされています。
この返済比率よりも高くなる借入額の場合、借りすぎとなり、将来住宅ローンが払えなくなる可能性があります。
住宅ローンを利用する際には、借入額を収入に合わせて計画的に設定することが大切です。高額な借入額は将来的な返済に影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。
1-2. 収入が減少してしまった
住宅ローンの返済が難しくなる原因の一つは、収入の減少です。収入の変動には柔軟な対応が必要です。
失業、転職や病気などの影響で収入が減少した場合に、計画していた返済ができなくなる可能性があります。
収入の変動は、誰にでも起こり得ることです。収入が減少する可能性を考慮し、住宅ローンの返済計画を立てる際には柔軟性を持たせることが必要です。備えあれば憂いなしと言えるでしょう。
1-3. 支出が増えてしまった
住宅ローンの返済に困難を抱える原因の一つは、支出の増加です。支出を管理し、予算を守ることが重要です。
病気やケガによる治療費、子どもの教育費などで支出が増えた場合に、計画していた返済ができなくなる可能性があります。
突発的な支出に対応することは難しいため、当初から不測の事態に備えられるように返済計画を立てることが重要です。
2. 住宅ローンが支払えないとどうなる
2-1. 督促状が届く
住宅ローンの返済が1~2ヵ月滞ると、まずは金融機関から督促状が届きます。これは返済を促す通知であり、無視せずに対処する必要があります。
督促状が届いたら、迅速に対応し、金融機関とコミュニケーションを取ることが大切です。問題を放置すると、さらなる困難が待っていますので、早めに対応することが重要です。
2-2. 一括返済を求められる
滞納が3~6ヵ月続くと、「期限の利益の喪失」の通知が届きます。これにより、金融機関は一括返済を求めてきます。
期限の利益とは、「住宅ローンを分割で返済できること」です。滞納が継続すると、この利益がなくなり一括返済を求められるのです。
このような状況では、一括返済することは難しいと考えられ、返済できない場合は代位弁済が行われます。これは、保証会社が金融機関に一括返済を行うというものです。債権者が保証会社へ代わりますので、これ以降は、住宅ローンの残債は保証会社へ支払うことになります。ただ、保証会社へ債権者が代わったとしても、一括返済を求められることが多いのが現状です。
2-3. 家が競売にかけられる
代位弁済後も住宅ローンの残債を返済できない場合は、保証会社は裁判所に競売の申し立てを行います。
競売の申し立てが受理されると、裁判所から「競売開始決定通知書」が届きます。これは、担保となっている不動産が競売にかけられることを知らせるものです。
この後の流れとしては、裁判所の執行官が、対象不動産の現況調査を行います。そして、裁判所から競売の入札期間や開札日(落札者が決定する日)を知らせる通知が届きます。競売が完了し、落札者が決定すると強制的に立ち退きを要求されます。
3. 住宅ローンが支払えない場合の対処法
3-1. 家計を見直す
住宅ローンが支払えなくなる可能性が出てきたら、まずは家計を見直すことが重要です。収入と支出のバランスを整え、節約の機会を探しましょう。
たとえば、日常の無駄な支出を削減し、予算を立てることで、返済への資金を確保することができます。家族で協力して生活費を見直すことも一つの方法です。
家計を見直すことは住宅ローンの返済問題を解決するために不可欠です。予算を立て、節約策を実行することで、問題に対処できる可能性が高まります。
3-2. 住宅ローンの借り換えを検討する
住宅ローンの支払いが厳しい場合、より低金利の新たなローンへの借り換えを検討することも対応策の一つです。これにより、毎月の返済額を抑えることができますので、返済の負担を軽減できます。
ただし、借り換えには費用が掛かりますので、その点も踏まえて検討することが大切です。借り換えが有効な方の目安は、次のようになります。
借り換えが有効となる目安
- 借り換え後の金利が、現状より1%以上低くなる
- 住宅ローンの残高が、1,000万円以上ある
- 住宅ローンの返済期間が、10年以上残っている
借り換えには、費用や手続きなどの時間がかかります。また、借り換えが有効となる場合も限られているため、まずはご利用の金融機関へ金利を引き下げてもらえるのかなどの相談をするのがよろしいかと思います。
3-3. 家を売却する
住宅ローンの支払いが不可能な場合、最終手段として家を売却することを検討する必要があります。支払いプランの見直しでも、返済のめどが立たない場合や、生活に余裕をもたらす手段としての選択肢となります。売却と一口に言っても、下記の通りいくつか方法があります。
売却の方法
- 通常の方法で売却する
- 任意売却をする
- リースバックで売却する
通常の方法で売却する
住宅ローンが残ったままでは、家を売却することはできません。住宅ローンを全額返済して、抵当権の抹消手続きを行う必要があります。
住宅ローンの残高よりも高く売却できればよいのですが、そうならず住宅ローンが残ってしまった場合は、自己資金で完済する必要があります。
任意売却をする
通常の方法で売却した場合に、自己資金がない場合や自己資金で支払っても住宅ローンを完済できずに、住宅ローンが残ってしまう場合の選択肢となります。
任意売却は、住宅ローンが残っている状態でも、債権者(借入先の金融機関)の同意を得て、家を売却できる方法となります。売却価格は、債権者の了承を得る必要がありますが、市場価格に近い価格で売却することが可能です。
リースバックで売却する
リースバックとは、家を不動産会社や知人などの第三者に売却し、その第三者と賃貸契約を結び、元の家を借りて住み続けることです。資金を得られるだけでなく、引っ越しをせずに元の家に住めるというメリットがあります。また、契約によっては、売却した家を買い戻せる場合もあります。
注意点としては、リースバックでの売却の場合、通常の売却と比較すると売却価格が安くなる場合があるということです。また、住宅ローンの残高よりもリースバックでの売却価格の方が高額である必要があります。売却金額で、住宅ローンを完済する必要があるためです。
4. まとめ
住宅ローンの支払いが難しくなることは、誰にでも起こり得る問題です。その原因は、収入の減少や支出の増加などがあります。支払えない状況により対処法がありますので、状況に応じた対応をすることで、問題の解決へつながります。
いずれにしても、早いうちに対応することが重要です。支払いができなくなる可能性が判明した段階で、家計を見直したり、借入先の金融機関へ相談することも有効でしょう。
対応したにもかかわらず、それでもなお支払いが難しく、最終的に大切な資産である家を手放さなければならないという事態になるかもしれません。そうならないためにも、借りる前、借りた後も将来を見据えた生活設計を考えて対処する必要があります。
5. Q&A
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住宅ローンが支払えなくなったら、何を最初にすべきですか?
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最初に家計を見直すことが大切です。また、借入先の金融機関へ相談することも有効です。
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住宅ローンを滞納してしまったら、何が起こるのですか?
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住宅ローンを滞納すると、次のような事態が起こる可能性があります。
金融機関から督促状が届き、一括返済を求められます。滞納を継続すると最終的には、家が競売にかけられます。