不動産相続で発生する準確定申告をご存じですか?その内容や必要書類を解説
不動産を相続した際、誰もが直面するのが確定申告や税金対策の問題です。「相続した不動産をどうすればいいのか?」「確定申告の方法は?」といった疑問が次々に浮かび、不安になることも多いでしょう。相続手続きは複雑で、特に不動産が絡む場合には準確定申告や相続登記など、慎重に進めなければならない点がたくさんあります。
この記事では、不動産を相続した場合に必要となる確定申告に関する知識や必要書類などについて紹介します。また、不動産の相続においては、ミスや手続きの遅れが後々のトラブルにつながることも少なくありません。そんな煩雑な手続きを円滑に進めるためには、専門家に依頼するのもひとつの賢い選択肢です。
不動産相続の手続きは煩雑で、時には想像以上の手間がかかることもあります。しかし、適切な知識を持ち、必要な書類を揃え、節税の特例を活用することで、手続きをスムーズに進めることができます。まずは基本的なポイントを押さえ、必要に応じて専門家のアドバイスを受けながら確実に進めていくことが大切です。
1. 相続発生後に必要な手続き
1-1. 準確定申告の概要と必要な準備
相続発生後、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に、被相続人の生前の所得について「準確定申告」を行う必要があります。これは、被相続人が死亡した年の所得税を確定させる手続きです。相続人等が 2人以上いる場合、各相続人等が連署により準確定申告書を提出することになります。ただし、他の相続人等の氏名を付記して各人が別々に提出することもできます。この場合、当該申告書を提出した相続人等は、他の相続人等に申告した内容を通知しなければならないことになっています。
準確定申告とは、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に申告と納税を行う被相続人の所得に対する確定申告です。申告対象となるのは、被相続人がその年の1月1日から死亡日までに得た所得です。
準確定申告が必要なケースは、亡くなった被相続人に所得があった場合です。例えば、事業主やフリーランスなどの場合が考えられます。所得があっても会社員などで、会社で年末調整を行っている場合には、基本的に準確定申告は必要ありません。ただし、例外もあり、会社員だとしても、2ヶ所以上から給料を受け取っていたり、不動産の賃貸収入などがあった場合、準確定申告が必要になることもあります。
準確定申告が必要なケース
- 事業所得や不動産所得がある
- 2,000万円を超える給与がある
- 2ヵ所以上から給与を受け取っている
- 400万円を超える公的年金の収入がある
- 給与・退職金以外で20万円を超える所得がある
準確定申告に必要な書類は、下記の通りです。
準確定申告に必要な書類
- 確定申告書
- 死亡した者の所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表
- 被相続人の所得に関する書類(源泉徴収票、事業所得の帳簿、不動産賃貸の収支報告など)
- 各種控除を受けるための書類(医療費控除、寄付金控除など)
- 委任状(還付金の受領を相続人の代表者等に委任する場合)
相続発生後に直面する「準確定申告」やご自身の「確定申告」の問題があります。準確定申告については、被相続人の確定申告が必要かどうかを判断して、適切な対応を行うことが重要です。また、ご自身の確定申告についても同じく考慮する必要があります。
相続を経験する多くの方が、不安を抱えることになると思います。不明点などがある場合は、専門家のサポートを受けることも重要です。専門家へ相談をすることで、相続に関する手続きについて、適切な対応を行うことができるでしょう。
1-2. 確定申告が必要なケースとは?
相続後に相続人が引き継いだ不動産から収入を得ている場合、または相続した不動産を売却して譲渡益が発生した場合、相続人自身が確定申告を行う必要があります。特に不動産の賃貸収入や売却益は確定申告の対象となり、税金が課されます。
相続により不動産を取得した場合、以下のケースで確定申告が必要です:
- 賃貸収入が発生している場合:相続した不動産を賃貸に出している場合、その賃貸収入は不動産所得として所得税の対象となります。
不動産所得 = 総収入金額 - 必要経費 - 不動産を売却して譲渡益が発生した場合:相続した不動産を売却し、譲渡益が発生した場合は、譲渡所得税が課されます。所有期間が5年を超える場合は「長期譲渡所得」に、5年以下の場合は「短期譲渡所得」になります。税率は、この所有期間によって異なります。
課税譲渡所得金額 = 譲渡価額 -(取得費+譲渡費用)- 特別控除額(一定の場合)
被相続人の所得に関する「準確定申告」、相続人の所得に関する「確定申告」を区別して、漏れなく手続きを行うことが重要です。不動産の賃貸や売却を行う際、相続人が知らずに税務上の義務を怠るケースが多いです。賃貸管理や売却手続きの際には、専門家へ税務相談を行うことで必要な手続きを漏れなく行うことができます。
2. 確定申告の手続き・必要書類
2-1. 確定申告に必要な書類の一覧
相続後に相続人が引き継いだ不動産から収入を得ている場合、または相続した不動産を売却して譲渡益が発生した場合、確定申告が必要ということを述べました。その確定申告に必要な書類について紹介します。「申告書作成に必要な書類」と「確定申告で提出する書類」に分けると下記の通りです。
申告書作成に必要な書類
- 収入に関する書類(賃貸契約書、賃料の振込明細書、領収書など)
- 経費に関する書類(修繕費、管理費、固定資産税の領収書など)
- 源泉徴収票(給与所得者の場合)
確定申告で提出する書類
- 確定申告書
- 青色申告決算書(青色申告の場合)
- 収支内訳書(白色申告の場合)
不動産収入がある場合、日頃から収支をきちんと管理しておくことが大切です。特に、修繕費や管理費の領収書はすぐに紛失してしまうことが多いため、申告前にまとめて整理しておきましょう。確定申告にて提出する書類以外にも確定申告書を作成する上で必要となる書類があるため、確認して保管するようにしましょう。
2-2. 確定申告の申請方法
確定申告は、電子申告(e-Tax)、郵送での送付による申告、税務署の窓口への提出による申告の3つの方法があります。特にe-Taxは、迅速かつ正確な申告が可能なため、多くの人に利用が推奨されています。
e-Taxについてですが、国税庁ホームページでの「確定申告書等作成コーナー」があり、確定申告書、収支内訳書、青色申告決算書などを画面の案内に沿って自動計算で作成し、e-Taxにより送信できるというものです。
3. 専門家への相談とサポート
3-1. 税理士や司法書士に依頼するメリット
税理士や司法書士に依頼することで、法的手続きの正確な実施や、税負担の軽減が期待できます。特に不動産相続に関しては、専門家の助言を受けることで手続きがスムーズに進み、後のトラブルを回避できます。
相続や不動産の売却に関わる税務や登記手続きは複雑であり、誤った申告や手続きの遅延が大きなリスクを伴います。税理士は適正な税額計算や控除の適用を、司法書士は不動産の相続登記を迅速に行う専門家です。これにより、相続に関する法的な問題を回避し、税金の最適化が図れます。
3-2. 相談先の選び方と無料相談の活用方法
専門家への依頼は慎重に行うべきですが、まずは無料相談を活用して、自分に合った税理士や司法書士を見つけるという方法があります。無料相談は、具体的なアドバイスを受けながら、依頼すべきかどうかの判断を下すための有効な手段です。
相談時に確認すべきポイント
- 専門分野の確認:不動産や相続に詳しいかを確認
- 実績の確認:過去に同様の案件を取り扱った実績があるかを確認
- 料金体系の透明性:相談時に料金の説明を受け、適切であるかを確認
初めて相続を経験する方は、何を質問すれば良いかわからないことが多いと思います。相談する際は、事前に必要な質問リストなどを準備することで、的確な相談ができるだけでなく、確認事項の漏れなどを防ぐことができます。
4. まとめ
最後までお読みいただきありがとうございました。
不動産相続における確定申告は、非常に重要で複雑な手続きです。特に、準確定申告や特別控除など、法律や税制の知識をしっかりと押さえておくことが不可欠です。
また、専門家への相談も有効です。税理士や司法書士に依頼することで、手続きの正確さが保証され、税務対策が万全になります。特に相続や不動産取引に強い専門家を選ぶことが大切で、無料相談を活用して適切な専門家を見極めましょう。
5. Q&A
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相続が発生した後、確定申告は必ずしなければなりませんか?
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亡くなった被相続人に所得があった場合、準確定申告が必要となるケースがあります。これは、相続発生後、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に、被相続人の生前の所得について確定申告を行うというものです。
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専門家を選ぶ際、どのように相談すればよいですか?
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専門家によっては、無料相談を実施していることがあります。自分の案件に最も適した専門家を選ぶという方法の一つとして、無料相談を活用するということが考えられます。