贈与税ゼロでも注意!住宅購入資金贈与の裏側
家族の未来を考えるとき、住宅購入は大きな一歩です。しかし、その際に知っておきたいのが「住宅取得資金贈与の非課税の特例」です。住宅購入における贈与とは、親から子へ住宅購入のための資金提供を指し、これを活用することで家族の絆を深めながら、税金の節約や相続時の対策を行うことが可能です。
住宅取得資金贈与における贈与税の非課税特例について詳しく解説していきます。贈与の受け手や贈与の用途に関する要件についてもご紹介します。贈与の非課税特例を利用することで、住宅購入に伴う経済的な負担を軽減し、家族の未来を安心して築くための道が開かれます。
この記事では、住宅取得資金の贈与時に受けられる、贈与税の非課税の特例をわかりやすくご紹介します。家族の絆を深めながら、家族みんなが安心して未来を迎えるための一助となる情報をお届けします。さあ、住宅購入と贈与の新たな可能性を一緒に探ってみましょう。
1. 住宅購入と贈与の基礎知識
1-1. 住宅購入における贈与の意味
住宅購入における贈与とは、親や祖父母から子や孫へ、住宅購入時に資金援助をすることです。
贈与は、家族の経済的なサポートや将来の遺産相続のプランニングとして利用されることが多く、住宅購入への支援としても一般的です。贈与を受けることで、住宅ローンの負担を軽減したり、物件の購入資金を確保したりすることができます。
この住宅取得資金の贈与は、家族間のサポートや将来の資産管理を考える際に有効な手段です。贈与によって新たな住宅を手に入れることで、家族の絆を深めながら、経済的な安定と安心を築くことができます。
1-2. 住宅取得資金贈与時の贈与税について
住宅取得資金贈与時の贈与税 は、贈与を受ける際に発生する税金のことを指します。贈与には一定の非課税枠があり、超える部分に対して贈与税が課税されます。正しい知識を持つことで、贈与税を最小限に抑えるための対策を講じることができます。
贈与税は、贈与された価値の一定割合が課税対象となります。しかし、家族間での住宅取得資金の贈与においては、特定の条件下では贈与税の非課税措置を活用できる場合があります。これにより、税負担を軽減できるのです。
住宅取得資金の贈与税は、正しい知識と手続きによって最小限に抑えることができます。家族間での贈与を検討する際には、贈与税のメカニズムを理解し、適切な手続きを踏むことで、経済的な負担を軽減することができます。
2. 住宅取得資金贈与時の贈与税の非課税措置
2-1. 住宅取得資金の贈与における非課税制度
父母や祖父母など直系尊属から住宅取得等のための資金の贈与を受けた場合で、一定の要件を満たすときには、住宅取得等資金の非課税と相続時精算課税選択の特例の適用を受けることができます。これらは、重複して適用を受けることができます。本記事では、住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税の特例について解説します。
住宅取得資金の贈与に関する非課税制度として、住宅取得資金贈与の非課税の特例が存在します。この特例を利用することで、一定の要件を満たす場合に、非課税限度額までの金額について、贈与税が非課税となります。ただ、この特例には期限があり、令和5年12月31日までに贈与により住宅資金を取得した場合に適用されます。
非課税限度額
- 省エネ等住宅(※)の場合には1,000万円まで
※以下の省エネ等基準のいずれかに適合する住宅用の家屋- 断熱等性能等級4以上または一次エネルギー消費量等級4以上であること
- 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上または免震建築物であること
- 高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上であること
- それ以外の住宅の場合には500万円まで
住宅取得資金の贈与における非課税制度は、住宅購入における経済的負担を軽減してくれる制度です。この特例を受けるには、一定の要件を満たすことが必要であり、その上で適切な手続きを行わなければなりません。
2-2. 非課税の特例を受けるための要件
住宅取得資金の贈与において非課税の特例を受けるためには、一定の要件を満たす必要があります。その要件には、受贈者や住宅に関する要件が存在していますので、それらの要件を満たす必要があります。
受贈者の要件
次の要件のすべてを満たす受贈者が非課税の特例の対象となります。
- 贈与を受けた時に贈与者の直系卑属(贈与者は受贈者の直系尊属)であること
- 贈与を受けた年の1月1日において、18歳以上であること
- 贈与を受けた年の年分の所得税に係る合計所得金額が2,000万円以下(新築等をする住宅用の家屋の床面積が40㎡以上50㎡未満の場合は、1,000万円以下)であること
- 平成21年分から令和3年分までの贈与税の申告で「住宅取得等資金の非課税」の適用を受けたことがないこと(一定の場合を除く)
- 自己の配偶者、親族などの一定の特別の関係がある人から住宅用の家屋の取得をしたものではないこと、またはこれらの方との請負契約等により新築もしくは増改築等をしたものではないこと
- 贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額を充てて住宅用の家屋の新築等をすること
- 贈与を受けた時に日本国内に住所を有していること(受贈者が一時居住者であり、かつ、贈与者が外国人贈与者または非居住贈与者である場合を除く)
- 贈与を受けた年の翌年3月15日までにその家屋に居住することまたは同日後遅滞なくその家屋に居住することが確実であると見込まれること
住宅用の家屋の新築、取得または増改築等の要件
- 新築または取得の場合の要件
- 新築または取得した住宅用の家屋の登記簿 上の床面積(マンションなどの区分所有建物の場合はその専有部分の床面積)が40㎡以上240㎡以下で、かつ、その家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が受贈者の居住の用に供されるものであること
- 取得した住宅が次のいずれかに該当すること
- 建築後使用されたことのない住宅用の家屋
- 建築後使用されたことのある住宅用の家屋で、昭和57年1月1日以後に建築されたもの
- 建築後使用されたことのある住宅用の家屋で、地震に対する安全性に係る基準に適合するものであることにつき、一定の書類により証明されたもの
- 上記②および③のいずれにも該当しない建築後使用されたことのある住宅用の家屋で、その住宅用の家屋の取得の日までに同日以後その住宅用の家屋の耐震改修を行うことにつき、一定の申請書等に基づいて都道府県知事などに申請をし、かつ、贈与を受けた翌年3月15日までにその耐震改修によりその住宅用の家屋が耐震基準に適合することとなったことにつき一定の証明書等により証明がされたもの
- 増改築等の場合の要件
- 増改築等後の住宅用の家屋の登記簿上の床面積(マンションなどの区分所有建物の場合はその専有部分の床面積)が40㎡以上240㎡以下で、かつ、その家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が受贈者の居住の用に供されるものであること
- 増改築等に係る工事が、自己が所有し、かつ居住している家屋に対して行われたもので、一定の工事に該当することについて、「確認済証の写し」、「検査済証の写し」または「増改築等工事証明書」などの書類により証明されたものであること
- 増改築等に係る工事に要した費用の額が100万円以上であること
これらの特定の要件を満たすことで、贈与税が一定の金額について非課税となる恩恵を受けることが可能です。特例の要件を理解することで、効果的な税対策を実現することができます。
2-3. 非課税の特例を受けるための手続き
非課税の特例を受けるためには、適切な手続きを踏むことが必要です。贈与税の申告や必要な書類の提出など、確実な手続きを行うことで特例を利用することができます。
具体的には、非課税の特例の適用を受けるためには、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、非課税の特例の適用を受ける旨を記載した贈与税の申告書に戸籍の謄本、新築や取得の契約書の写しなど一定の書類を添付して、納税地の所轄税務署に提出する必要があります。
非課税の特例を受けるためには、適切な手続きを踏むことが肝要です。特例を活用するために必要な書類の提出や申告期限を守りつつ、スムーズな手続きを進めることで、贈与税の軽減を実現しましょう。
3. 「住宅取得資金贈与の非課税の特例」の注意点
3-1. 贈与税が0円でも申告が必要
住宅取得資金贈与の非課税の特例を利用することで、一定の要件を満たす場合に、非課税限度額までの金額について、贈与税が非課税となります。この特例は、自動的に適用されるものではありません。
この特例の適用を受けるには、申告が必要になります。申告書に必要書類を添付して税務署に提出する必要があります。申告を忘れた場合は、非課税の適用を受けられなくなるため、忘れずに申告することが大切です。
3-2. 相続時精算課税制度との併用
住宅取得資金贈与の非課税特例を利用する場合でも、相続時精算課税制度との関係を理解することが大切です。
相続時精算課税(※)は、一定の要件に該当する場合に贈与者が異なるごとに選択することができます。なお、一度この相続時精算課税を選択すると、その後、同じ贈与者からの贈与について「暦年課税(※)」へ変更することはできません。
また、贈与された金額が2,500万円までは非課税となりますが、超えた部分に一律20%の贈与税がかかります。
住宅取得資金贈与の非課税特例を利用する際には、相続時精算課税制度との関係を理解し、バランスを取ることが重要です。贈与を受ける側は、将来の税金負担を軽減するために適切な戦略を練る一方で、贈与を行う側も家族の将来を考慮して贈与計画を立てることが大切です。
※「相続時精算課税」や「暦年課税」に関しては、贈与税の記事 の中で解説しています。
4. まとめ
住宅購入時の贈与により、家族の経済的な安定や将来の遺産相続に役立つ非課税特例を理解しましょう。贈与税が発生しない場合でも申告が必要であり、将来の相続時における税金負担を考慮して贈与戦略を練ることが大切です。家族の絆を深めながら、贈与の効果的な活用を通じて、安心で豊かな未来を築いていきましょう。
5. Q&A
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住宅取得資金贈与の非課税の特例とは何ですか?
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住宅取得資金贈与の非課税の特例とは、家族間での住宅購入を支援するための税制措置です。この特例を利用することで、一定の要件を満たす場合に、贈与税が一定金額非課税となります。住宅取得にかかる経済的な負担を軽減し、家族の未来に役立てることができる仕組みです。
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贈与税が0円でも、住宅取得資金贈与の申告は必要なのですか?
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はい、贈与税が0円でも住宅取得資金贈与に関する申告は必要です。住宅取得資金贈与の非課税の特例は、自動的には適用されないため、必要書類を準備して税務署への申告が必要です。