空き家はなぜできる?空き家にはどのような問題があるのか?

未利用のまま放置される空き家は、景観だけでなく周辺の環境にも悪影響を及ぼします。人口減少や高齢化、相続問題など、多くの要因が絡み合い、この「空き家問題」と呼ばれる課題が私たちの生活や社会に影響を与えています。
この記事では、空き家問題の概要や現状、その原因となる課題に焦点を当て、それぞれの要因がどのように空き家問題に影響を及ぼしているのかを探っていきます。さらに、どのような問題を引き起こすのかについてもご紹介します。

不動産屋

この問題は単なる不動産の問題だけでなく、私たちの生活や未来に大きな影響を及ぼすものです。地域ごとの特性や課題を踏まえつつ、新たな住まいと地域の魅力を創出するためのアイディアや取り組みを共に考え、この「空き家問題」に立ち向かっていくことが重要です。

1. 空き家問題の概要と背景

1-1. 空き家の定義

空き家とは、一定期間にわたって使用されず、所有者が居住や活用を行っていない家のことを指します。そして、空き家には次の4つの種類があります。

空き家の種類

  • 売却用の住宅
    新築・中古を問わず、売却のために空き家になっている住宅
  • 賃貸用の住宅
    新築・中古を問わず、賃貸のために空き家になっている住宅
  • 二次的住宅
    普段は人が住んでいないが、別荘などとして使用されている住宅
  • その他の住宅
    上記以外の人が住んでいない住宅で、転居・入院などで長期不在の住宅や取り壊し予定の住宅など

問題となっている空き家は、「その他の住宅」に該当する空き家です。空き家は所有者が管理しないことで、周囲の環境や地域社会に影響を与える要因となっています。空き家問題を解決するためには、適切な対策が必要です。

1-2. 空き家の現状

総務省が、5年ごとに行っている「住宅・土地統計調査」における、2018年の空き家の数は 848 万 9 千戸と過去最高となっています。総住宅数は 6240 万 7 千戸ですので、空き家の占める割合は 13.6%となっています。
空き家の内訳をみると、「賃貸用の住宅」が 432 万 7 千戸、「売却用の住宅」が 29 万 3 千戸、「二次的住宅」が 38万 1 千戸、「その他の住宅」が 348 万 7 千戸となっています。

空き家数及び空き家率の推移-全国(1958 年~2018 年)

出典:総務省統計局「平成30年住宅・土地統計調査 調査の結果」-「住宅及び世帯に関する基本集計」(総務省統計局

1-3. 空き家問題とは何か

空き家問題とは、人口減少や都市化、相続の問題などにより増加する未利用の住宅が住環境や地域社会に与える影響を指します。

空き家問題

  • 景観や環境への悪影響
  • 治安の悪化
  • 固定資産税が6倍になるリスク

景観や環境への悪影響

空き家の放置が続くと雑草の繁茂や建物の老朽化などにより、景観が悪化します。見た目だけではなく、害虫の発生や悪臭がただよい、周辺の環境の悪化にもつながります。

治安の悪化

空き家は管理者がいないため、犯罪の温床となる可能性があります。不法侵入や不法投棄、さらには放火のリスクもあります。このように空き家は、地域の治安の悪化につながるという問題があります。

固定資産税が6倍になるリスク

土地や家屋を所有していると、固定資産税 都市計画税 などの税金がかかります。その住宅用地には、特例措置が適用されるため、下記の表の通りそれぞれ税額が軽減されます。

しかし、空家法に基づく勧告を受けた「特定空家等」の敷地には、その特例措置が適用されなくなるのです。流れとしては、次の通りです。自治体から「特定空家等」に認定されると、自治体が所有者に適切に管理をするように助言や指導を行います。それでも改善が見られない場合は勧告や命令を行います。この勧告を受けて必要な措置を講じない建物の敷地について、固定資産税・都市計画税の住宅用地に係る課税標準の特例の適用対象から除外されます。

固定資産税「住宅用地の課税標準額の特例」

用地の種類課税標準となる額
小規模住宅用地
(200㎡以下の住宅用地、200㎡を超える住宅用地のうちの200㎡までの部分など)
台帳価格 × 1/6
小規模住宅用地以外の一般住宅用地
(200㎡を超える住宅用地のうちの200㎡を超える部分など)
台帳価格 × 1/3

都市計画税「住宅用地の課税標準額の特例」

用地の種類課税標準となる額
小規模住宅用地
(200㎡以下の住宅用地、200㎡を超える住宅用地のうちの200㎡までの部分など)
台帳価格 × 1/3
小規模住宅用地以外の一般住宅用地
(200㎡を超える住宅用地のうちの200㎡を超える部分など)
台帳価格 × 2/3

2. 空き家問題の原因

2-1. 人口減少と高齢化

人口減少や高齢化などは空き家問題の一因となります。人口減少や特に地方や過疎地域での若年層の流出によって、住宅需要が減少しています。これに伴い、新たな住宅の需要が減少し、既存の住宅が空き家として残るのです。また、高齢になった方が介護施設などに移り住み、もともと暮らしていた家が空き家になるということがあります。

2-2. 相続・所有者の問題

親が亡くなった場合、所有していた家は子どもが相続することになります。しかし、子どもが既に家を所有していた場合、相続した家に住むことはありません。その家に思い入れがあれば、すぐに解体というわけにもいきません。また、売却するにしても、家屋が古く立地がよくない場合は簡単には売却できません。このような事情により、そのまま放置されて空き家となってしまうケースがあるのです。

3. 空き家問題の解決策

3-1. 空き家問題を解決するためには

空き家の所有者は、何をすればよいのか、誰に相談すればよいのか不明なことがあると思います。自治体や不動産会社などに相談することで解決策を見出すことができると思いますので、まずは相談することからはじめるのがよいと思います。

また、空き家を放置しないために、提供されているサービスを利用するのもよいと思います。空き家をどうしたいのかといった方針に基づき、存在している具体的なサービスからニーズにあったサービスを利用することができます。

空き家対策として、具体的な解決策やサービスについては、空き家活用 に関する記事がありますので、そちらを参考にしていただければと思います。

4. まとめ

空き家は年々増加しており、周辺環境の悪化や、犯罪の温床の可能性などいくつかの問題を抱えています。そのようなリスクを回避するためにも、空き家対策は重要と考えます。

人口減少や高齢化、相続の問題などの原因により空き家になることがわかっています。それらを解決するために行政や民間で各種サービスが提供されています。自治体によっては相談窓口が設けられていたり、不動産会社など専門家に相談するというのも解決に向けた糸口になると思います。

どのように手を付けたらよいのかわからないという方は、まずは相談することからはじめるのがよいと思います。空き家問題は、社会全体の問題ですので、所有者だけではなく、行政、住民が連携して協力しあって解決していくことが重要だと思います。

5. Q&A

空き家問題とは何ですか?

不動産屋

空き家問題とは、所有者が一定期間にわたって使用せず、管理を行っていない建築物により住環境や地域社会に与える影響を指します。それは、景観や周辺環境の悪化や犯罪の温床などの問題を引き起こす可能性があります。

なぜ空き家問題が起こるのですか?

不動産屋

人口減少や高齢化に伴う住宅需要の減少の影響により、年々空き家が増加しています。また、所有者が亡くなり相続された家などが諸事情により放置され、空き家となってしまうのです。