隣家との間にある塀:隣人と円滑な関係を維持するためにも知っておくべきポイント

自宅を快適な場所にするために、我々は日々様々な工夫を凝らします。その一環として、塀は、隣地との境界、プライバシーの確保、安全性の向上など重要な要素となります。しかし、隣家との間の塀に関して問題が起こる可能性もあります。

本記事では、隣家との間の塀に関するルールを法律を交えて紹介します。また、問題となり得る事象を挙げて、どのように対処すべきかについても紹介します。塀の設置や維持に関する知識を身に付けて、安全で快適な居住環境を実現しましょう。

不動産屋

この記事は、隣家との間の塀に関する問題に対処する際に必要となる、知識と理解を深める手助けになると思います。
お隣との間の塀に関する不安や疑念を解消し、安心して自宅での生活を楽しむために、ぜひこの記事をご一読ください。

1. お隣との間にある塀の基本知識

1-1. 塀の役割とは

塀は、自分の土地と他の土地とを区別したり、人の視線、侵入者、車による衝突などを避け、浸水・台風・火事などの災害から家を守るなど、さまざまな役割を果たします。

塀の主な役割

  • 境界のような役割
  • プライバシーの確保
  • 安全性の向上

1-2. 塀を設置する場所

ブロック塀の設置方法は、設置場所により、以下の種類があります。

ブロック塀の設置方法

  • 芯積み
  • 内積み
  • 外積み

芯積み

境界線が塀の中心になるように設置する方法。設置費用は、境界の隣人同士が両者で折半することになります。


内積み

境界線から内側の自分の土地側に積む方法。設置費用は、設置する側の自分が全額負担するのが一般的です。


外積み

境界線から隣の敷地内に積む方法。設置費用は、隣の土地の所有者が負担することになります。

2. 塀に関するルール

2-1. 新たに境界線上に塀を設置する

新たに境界線上に塀を設置する際は、隣地の所有者と話し合い、費用を分担して設置することになります。

民法

(囲障の設置)
第二百二十五条
 二棟の建物がその所有者を異にし、かつ、その間に空地があるときは、各所有者は、他の所有者と共同の費用で、その境界に囲障を設けることができる。

出典:デジタル庁「e-Gov法令検索サイト」-「民法」(出典元

塀の所有権は、塀の設置費用を共同で負担していますので、共有ということになります。塀の修理や取り壊しなどの費用についても、共同で負担することになります。

2-2. 自分の敷地内に塀を設置する

自分の敷地内に塀を設置する場合の設置費用は、自分で負担することになります。所有権も自分にありますので、塀の修理や取り壊しなどの費用についても、自分で負担することになります。

2-3. 境界線上に存在する塀は誰のものか

次に、新たに設置するのではなく、既に塀が設置されている場合について見ていきます。

民法

(境界標等の共有の推定)
第二百二十九条
 境界線上に設けた境界標、囲障、障壁、溝及び堀は、相隣者の共有に属するものと推定する。

出典:デジタル庁「e-Gov法令検索サイト」-「民法」(出典元

境界線上にある場合は、隣地所有者との共有ということになります。塀の修理や取り壊しなどの費用についても、共同で負担することになります。

3. 塀に関する問題の対処

3-1. お隣の塀が自分の敷地に入り込んでいる

共有ではない塀が、お隣の敷地から自分の敷地へ入り込んでいる場合、どのような対応ができるのでしょうか。それは、土地の所有権侵害ということで、塀の移設や取り壊しを求めることができます。それらにかかる費用は、塀の所有者の負担となります。

ただ、注意が必要なのは、塀のはみ出しが数cmなどで塀の再築の費用が高額となる場合などは、権利の濫用となる可能性もあります。

​また、塀がお隣の敷地から自分の敷地に入り込んでいる場合に、それを放置すれば、その部分の土地を時効取得されてしまう可能性もあります。

対応策としては、塀の所有者となるお隣さんと話し合い、撤去して建て直してもうらうのが望ましいでしょう。しかし、お隣さんがそのような要求に応じてくれない場合もあるでしょう。そのような場合は、「塀が自分の敷地に入り込んでいることの確認」、「将来塀を建て替える時には境界線を越えないこと」について、文書を取り交わすことが望ましいでしょう。

3-2. 塀の倒壊のおそれがある

塀が共有の場合は、塀の所有者同士で話し合い、補修費用などは双方で分担して負担することになります。

一方、塀の所有者がお隣さんの場合はどうなるのでしょうか。お隣さんの所有物になるため、自分で補修などを行うことはできません。塀の所有者であるお隣さんに補修等の依頼をする必要があります。ただ、倒壊しそうな場合など被害が生じる危険がある場合には、最終的に法的な手段に訴える可能性も考えられるため、その際は専門家に相談するのがよいでしょう。

4. まとめ

塀には、境界、プライバシー確保、安全性の向上などの役割があります。そのような塀にも問題が発生する可能性があります。当然、事象により対処法は異なりますが、所有形態などによっても対処法は変わってきます。そのため、問題が発生した時は、適切な知識と行動が必要となってきます。

そして、問題を抱えている場合は、ストレスの軽減や安全性確保などの側面から、早期解決したいものです。まずは、お隣さんとのコミュニケーションが重要になってきます。話し合いで解決できれば、それに越したことはありません。また、たとえ自分の所有する塀だとしても、補修や取り壊しをする際は、事前にお隣さんへ連絡をして承諾を得ておくことが、トラブルを回避する方法として有効であると考えられます。

5. Q&A

境界線上に存在する塀は誰のものですか?

不動産屋

境界線上に存在する塀で、所有者が判明しない場合は、相隣者の共有となります。つまり、隣人同士で、塀の管理・維持を共同で行うことになります。

隣の塀が自分の敷地に入り込んでいます。どうすれば良いですか?

不動産屋

隣の塀があなたの敷地に入り込んでいる場合、まずお隣さんとコミュニケーションを取り、適切な対応を依頼しましょう。合意が得られない場合、専門家に相談して、解決策を探ることも必要になってきます。