どちらを選べばよい?都市ガスとLPガスの比較と注意点
物件選びの際に、都市ガスとLPガスの違いについて気になったことはありませんか。都市ガスというぐらいだから都市部で使えるガスなの?と思ったりしてませんか。私は、そのように漠然ととらえていました。その辺も解明できると思います。そして、この記事では、それぞれの特徴や違い、注意点について解説したいと思います。
都市ガスとLPガスの違いは、主に供給エリアや、料金面になります。供給方法の違いにより、供給エリアに違いが出てきます。それが、料金面にも反映されてコストの差につながっています。また、都市ガス、LPガスそれぞれを使用するにあたり、知っておきたい注意点についてもご紹介いたします。ぜひ、参考にしていただければと思います。
物件の広告などで「都市ガス」や「LPガス」というのを見たことがあるのではないでしょうか。それらの違いをご存じでしょうか。ご存じの方もおられるかと思いますが、ご存じない方はこの記事を通じて違いを知る手掛かりとしていただければと思います。物件選びの際に、チェックポイントになるのではないでしょうか。
1. 都市ガスとLPガスの特徴
家庭で使用されるガスは主に都市ガスとLPガスの2種類になります。両者の違いについて見ていきたいと思います。
1-1. 都市ガス
都市ガスは、メタンを主な成分に持つ天然ガスで、液化天然ガス(LNG)が大半を占めます。
本来は無色・無臭ですが、ガス漏れ時にすぐに気が付くよう匂いをつけてあります。
供給方法は、道路の下のガス管を通じて供給されます。そのため、ガス導管のある都市部でのみの供給となります。
1-2. LPガス
LPガスは、プロパン・ブタンを主成分に持つ液化石油ガス(LPG)です。
本来は無色・無臭ですが、ガス漏れ時にすぐに気が付くよう匂いをつけてあります。
供給方法は、LPガスが入ったボンベを事業者が配送します。LPガスは、マイナス42℃まで冷すと液体になり、体積が気体の250分の1と小さくなります。そのため、液化した状態でボンベなどの小さな容器で大きなエネルギーを運べる特長があります。
2. 都市ガスとLPガスの比較
2-1. 供給エリア
都市ガスは、主に都市部に広く敷設された導管によりガスが供給されますので、ガス管が設置されている地域にのみ供給されております。一方で、LPガスは、ガスが入ったボンベを事業者が配送するため、ガス管のない地域にも供給可能です。
2-2. ランニングコスト
東京都で、ガスを5㎥使用した場合の月額料金(消費税込み)を比較した場合は、次の通りとなります。
都市ガスは、1,547円(東京ガスの東京地区等の令和5年10月検針分の料金)
LPガスは、4,979円(令和5年10月末現在の石油情報センター公表価格)
都市ガスとLPガスとでは、約3,400円の差があります。時期や使用量により料金がかわってきますので一概には言えませんが、上記比較では都市ガスの方がコストが安くなりました。
3. 都市ガスとLPガスの使用時の注意点
3-1. 都市ガスの注意点
都市ガスの使用にあたり、知っておきたい注意点は下記の通りです。
都市ガスの注意点
- 災害時の復旧が遅い
- ガスの種類により使用できる機器が決まっている
災害時の復旧が遅い
復旧のために、ガス管全体の安全確認が必要になります。安全確認を行なってからガスの供給を再開するため、復旧までに多くの時間を要することになります。
ガスの種類により使用できる機器が決まっている
LPガス用の機器で都市ガスは使用できませんが、都市ガス用機器でも都市ガスを使用できない場合があります。同じ都市ガスでもその中にいくつかガスの種類があります。ほとんどの住宅では、13Aや12Aといった種類が供給されていると思います。このガスの種類が、使用されるガス機器と適合している必要があります。
使用するガス機器が供給されるガスの種類と合っていないと、正常な燃焼をせず、有毒な一酸化炭素(CO)が発生して、中毒などの原因となるため大変危険です。
そして、適合するガスの種類の見分け方ですが、使用されるガス機器にステッカーが貼ってあります。そこに適合するガスの種類が明記されていますので、そちらで確認できます。一方、供給されるガスの種類については、検針票などに記載があります。不明な場合は、ご契約されているガス会社へ問い合わせをすることで確認できると思います。
3-2. LPガスの注意点
LPガスの使用にあたり、知っておきたい注意点は下記の通りです。
LPガスの注意点
- ガスボンベを保管するスペースが必要
- LPガス用機器を使用する
ガスボンベを保管するスペースが必要
LPガスが入ったボンベを保管するスペースが必要になります。特に戸建て住宅の場合、ガスボンベのスペース分、敷地の利用が制限されてしまいます。
LPガス用機器を使用する
都市ガス用機器は使用できませんが、LPガス用機器であれば全国共通で使用できます。
4. まとめ
都市ガスとLPガスには、供給エリアや毎月の料金に違いがあります。都市ガスは、ガス導管のある都市部での供給となり、LPガスは、ガスボンベと簡単な設備があれば、どこでも供給することが可能です。使用できるエリアという意味では、LPガスに分があります。しかし、料金面では、都市ガスの方がお得に利用でき、都市ガスに分があります。
集合住宅などでは、個別に都市ガスとLPガスを選択することは難しいです。戸建て住宅であれば、供給エリアなどの障壁はありますが、選択できることもあります。どちらを選択するかは、記事の中で紹介した内容を参考に、それぞれのライフスタイルに合わせて決めていただくのがよいと思います。
5. Q&A
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都市ガスとLPガスの違いは?
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都市ガスとLPガスは、原料に違いがあります。都市ガスは、液化天然ガス(LNG)を原料としています。LPガスは、液化石油ガス(LPG)を原料としています。
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ガスを使用するにあたり、都市ガスとLPガス、どちらでも選択することはできますか?
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都市ガスは、道路の下のガス管を通じて供給されますので、ガス導管のある都市部でのみの供給となります。一方、LPガスは、ガスボンベと簡単な設備があれば、どこでも供給することが可能です。このように供給エリアに違いがあるため、どちらでも選択できるわけではありません。