知っておきたい媒介契約の種類と選び方
不動産を売却する際、成功への鍵は媒介契約の選び方にあります。あなたの大切な不動産を取引する際、最良の選択をすることが、スムーズな取引と満足度の高い結果につながるのです。「媒介契約」は、不動産を売却したい依頼者と不動産会社との間で締結される契約です。その種類によって、取引の進め方や成功の可能性が大きく変わります。一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約のそれぞれが持つ特徴やメリットを理解し、自身のニーズに合った選択をすることが重要です。この記事では、媒介契約の種類ごとの特徴を解説し、選び方のポイントを明確にご紹介します。
不動産売却の成功に向けての第一歩を踏み出すために、ぜひこの記事をご一読ください。あなたの不動産の価値を最大限に引き出すためのヒントが、ここに詰まっています。さあ、一緒に成功への道を歩みましょう。
1. 媒介契約の基礎理解
1-1. 媒介契約とは何か?
媒介契約とは、何でしょう。不動産売却の際に不動産会社に売却を依頼するとします。不動産会社が買い手を探してきて、不動産会社に依頼した売主と不動産会社が探してきた買主との間で売買契約が結ばれます。これが媒介の仕組みです。そして、売主が不動産会社に売却を依頼する時に結ばれるのが媒介契約になります。
個人で買い手を見つけたり、契約に関する手続きすべてを行うことは大変ですし、トラブルが起こった場合などはさらに時間と労力がかかり負担が大きくなります。そのため、不動産会社に依頼をして媒介契約を結び、買い手を見つけてもらい、スムーズな契約手続きが行えるようになります。
2. 媒介契約の種類について
媒介契約には、以下の3つの種類があります。それぞれの特徴について解説していきます。
一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | |
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自己発見取引(※1) | 相手方と直接取引できる | 相手方と直接取引できる | 相手方と直接取引できない |
媒介依頼できる不動産会社数 | 複数の不動産会社に依頼ができる | 1社のみ | 1社のみ |
依頼主への業務処理状況の報告義務 | 報告義務なし | 2週間に1回以上の報告が必要 | 1週間に1回以上の報告が必要 |
指定流通機構(※2)への物件の登録義務 | 登録義務なし | 契約日から7日以内に登録が必要 | 契約日から5日以内に登録が必要 |
※1:自己発見取引とは、売主が自分で見つけた相手と直接取引することです。
※2:指定流通機構とは、通称「レインズ」と呼ばれ、国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営しているコンピューターネットワークシステムです。このシステムには、売りたい方や貸したい方の不動産情報が登録されています。不動産会社は、この登録された不動産情報の中から買いたい方や借りたい方の希望条件に合った物件を探すことができます。
2-1. 一般媒介契約
一般媒介契約は、売主が不動産会社と媒介契約を結びますが、複数の不動産会社に媒介を依頼することが可能です。さらに、売主自身も買い手を見つけて直接取引することができます。
先ほどの表で紹介した通り、複数の不動産会社に媒介を依頼できる上、自分自身でも買い手を見つけて直接取引ができますので、一見すると最も早く買い手を見つけることができるように思えます。しかし、依頼した物件に関して、指定流通機構への登録義務がありません。登録されなければ物件情報を広く知らしめることができないため、買い手を見つけることが難しくなります。さらに、依頼者への業務処理状況の報告義務もありませんので、販売状況の把握もしにくいのです。
2-2. 専任媒介契約
専任媒介契約は、1社とのみ媒介契約を結ぶことになります。ただ、売主自身が見つけた買い手と直接取引することもできます。
この契約では、指定流通機構への登録義務がありますので、物件を広く知らしめることが可能です。また、依頼主への業務処理状況の報告義務もありますので、販売状況の把握もできます。
2-3. 専属専任媒介契約
専属専任媒介契約は、1社とのみ媒介契約を結ぶことになり、売主自身が見つけた買い手と直接取引することができません。
専任媒介契約と同じく、指定流通機構への登録義務や、依頼主への業務処理状況の報告義務があります。専任媒介契約に比べて、指定流通機構への登録までの期限が早いため、より早く物件を知らしめることが可能です。また、依頼主への業務処理状況の報告の間隔も短いため、より販売状況の把握がしやすいです。
3. 媒介契約の選び方
3-1. どの媒介契約を選べばよいか
適切な媒介契約を選ぶ際には、自身の目標やニーズ、物件の特性に基づいて慎重に検討することが重要です。一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約のそれぞれにメリットとデメリットがありますが、最適な選択肢は個々の状況によって異なります。
ご自身で見つけてきた買い手と直接取引をすることも視野に入れたいのであれば、一般媒介契約か専任媒介契約を選ぶ必要があります。複数の不動産会社に依頼を行いたい場合は、一般媒介契約を選択することになります。ただ、物件の流通機構への登録や販売状況の把握を確実にしたいのでばれば、1社のみの依頼となりますが、専任媒介契約を選ぶ必要があります。
1社のみへの依頼となりますが、より早く物件の流通機構への登録を行ってもらい、頻度高く販売状況を知りたいということであれば、専属専任媒介契約を選択することになります。
どの媒介契約を選択すればよいのかというのは、依頼主の状況により異なってきます。
早く確実に売りたいという方であれば、専任媒介契約か専属専任媒介契約が適しています。また、信頼できる不動産会社だと思える場合も同様です。
周りに物件を売りに出していることを知られたくない場合は、物件の指定流通機構への登録義務のない一般媒介契約を選択するのがよいと思います。また、人気物件であれば、すぐに買い手が見つかるため、不動産会社が競ってくれ、いい条件で売却できる可能性のある一般媒介契約を選択するのがよいと思います。
4. まとめ
不動産取引における媒介契約は、スムーズな取引や専門的なアドバイスを受けるために不可欠です。媒介契約には、一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3つの種類があり、それぞれにメリット、デメリットがあります。各媒介契約は、媒介契約を結べる不動産会社の数や売却物件の周知、販売状況の把握などの違いがあります。
どの媒介契約を選択すればよいかという疑問があると思いますが、ご自身の重視するポイント、早く確実に売りたいという要望や周りに知られずに売却を考えているなどの事情により判断する必要があります。ご自身の要望に沿った契約を選択するためにも、不動産会社と相談して決めるのがよいと思います。
媒介契約の選び方は、個々のニーズや物件の状況によって異なります。目標を明確にし、市場情報と不動産会社の意見を織り交ぜながら、最適な選択を行いましょう。適切な媒介契約を選ぶことで、不動産取引を成功に導く一歩を踏み出すことができます。
5. Q&A
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媒介契約とは何ですか?
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媒介契約は、売主が不動産会社に不動産の売却を依頼する時に結ばれる契約になります。不動産会社は、買い手を見つけて、契約手続きなどをサポートし、スムーズな取引を実現します。
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媒介契約の種類にはどのようなものがありますか?
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媒介契約には、一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3つの種類があります。一般媒介契約は複数の不動産会社に依頼することができ、専任媒介契約と専属専任媒介契約は1社にのみ依頼することになります。それぞれ特徴がありますので、依頼者のニーズに合わせた契約を結ぶことが大切です。